iDeCoってなんでこんなにもわかりづらいのでしょう。それがきっかけで、iDeCo賛成派と反対派が時折議論したりする瞬間が見受けられます。
前回iDeCoの理解を深めましたが、結局やった方が良いのかやらない方が良いのかということについて管理人なりに結論を出してみようと思います。
iDeCoやらない派が主張する多くは下記だと思います。
①資金が拘束される(だったら積み立てNISAの方が良い)
②受け取りに税金がかかる(ドヤ)
③特別法人税が復活したらどうするの?(ドヤ)
④手数料負けするから
このくらいでしょうか。
ようはどのやり方が一番手元にお金が残るの?ということで答えが出せるような気がします。ではでは、まずはiDeCoのおさらいをした上で色々想定して検証してみようと思います。
iDeCoのメリットおさらい
まずはiDeCoのメリットから
控除・非課税・税制優遇の3つかと思いますが、1つずつ簡単におさらいします。
掛け金は控除の対象
控除の対象となる為、年収に応じた所得税と一律の住民税を払わなくてOKになりますね。400万円以下は15%、600万円以下は20万円くらいですね。
運用益は非課税
本来、株なんかで運用した利益には約20%ほどの税金がかかりますが、iDeCoでは全額非課税となり0円となります。
受け取り時に税金はかかるが優遇あり
①一括で受け取る場合は退職金と同じ扱い、加入年数に応じて控除額決定
②分割して受け取る場合は公的年金等控除の対象
うまく調整することで、限りなく0にすることは可能です。
今回は所得控除と非課税、受け取り時の税金も可能な限り想定してみます。
iDeCoのデメリットおさらい
デメリットも3つくらいかなと思います。
毎年絶対かかるお金があることが最大のデメリットでしょうか。
それでは1つずつ簡単におさらいします。
原則60歳まで資金が拘束される
一度預けると60歳まで引き出すことができません。
とにかく資金拘束!資金拘束!という言葉を耳にしますが、iDeCoの年間拠出額上限は自営業の方で年間81.6万円(月6.8万円)、それ以外では最大年間27.6万円(月2.3万円)となります。
資金拘束と言いますが、金額は自分で決められる上、年1回変更ができます。無理のない範囲で積み立てて行けば良いのではないでしょうか。
もっと良い投資先があった時に投資できないということも言われますが、それなりに投資信託の商品はあるので、一体どんな投資があるのか教えてもらいたいものです。
ただ、自営業の方や安定しない収入の方(個人事業主など)の場合は、確かにこの資金拘束はデメリットになるかもしれません。また、より税金をコントロールできる手段があるかもしれません。
若干想像になりますが、このことから会社員でない方はiDeCoに入るべきではないと思われます。
金額は自分で決められる上、あくまで老後の為のお金なので、バリバリ運用できないというのはちょっと手段と目的がずれているような気がします。
口座開設・維持手数料・受け取り手数料がかかる
①国民年金基金連合会へ事務手数料として、年間税込1,260円
②信託銀行へ資産管理手数料として年間税込792円
③口座開設した金融機関へ指定の金額⇒基本的には無料が多い
④給付事務手数料はややこしいので加味せず ※お金を受け取る度に税込440円/回の手数料
国民年金基金連合会・・・事務手数料てなにするのよ・・・これは天くだ・・・(; ・`д・´)
特別法人税が復活すると・・・
特別法人税とは・・・確定給付企業年金、確定拠出年金の積立額に、毎年一律1.173%の特別法人税が課税されるもの。
拠出した控除額分の課税を繰り延べることになる為、その遅延利息とのこと、この手口は国家ヤ○ザ!!!
なお、1964年に誕生したこの特別法人税は99年に景気低迷から2、3年の期限付きで凍結されており、直近では2020年3月末から2023年の3月末まで凍結延長が決まっています。
毎年の積立額に1.173%がかかる為、復活した場合はかなりの金額になることが想定されます。
今回は積み立て1年目で復活した場合も想定してみます。
実際に運用したと想定
拠出額と同額貯金した場合と比較し、iDeCoと積み立てNISAがどれだけ得するかを比較してみました。
また、下記を前提条件とします。
前提条件
◆積み立て対象:TOPIXに連動する投資信託 ※1990年~30年間でバックテスト
◆積み立て期間:30歳から30年
◆労働形態:会社員 ※労働人口の87%が会社員の為
◆年収想定:400万円~600万円 ※厚生労働省30歳~60歳の賃金平均より
◆課税所得税率:20%(所得税10%、住民税10%)
◆掛け金・貯金額:毎月1万円、年間12万円 ※野村総合研究所の「iDeCoに関するアンケート調査結果」2016年10月実施より平均積み立て額から
◆退職金:高校卒(現業職)1,159万 高校卒(管理・事務・技術職)1,618万 大学卒(管理・事務・技術職)1,983万 ※厚生労働省の20年以上45歳以上の定年退職した場合の退職金の平均より
◆退職所得控除額:1,500万円 ※控除額を上回る場合は ①iDeCoを先に受け取り5年後に退職金受け取りにすることでそれぞれの控除額を適用させる。②65歳までに600万を分割して受け取る。今回の場合では全て非課税出来ると仮定
◆定年:65歳、このタイミングで退職金を受け取るものとする。
最終的な運用額には下記を加えるもの。
①拠出金に対する控除額を加算
②非課税分を加算
③口座開設維持手数料を減算
④税金がかからない受け取り方法を選択
※特別法人税が復活した場合も想定
VS
①加算されるのは運用益の非課税分のみ
②非課税制度(20年間)を最大限利用する為、1年目~10年目の積み立て分は21年目~に売却及び同額買い付けするものとする。
③積み立てNISAの運用は2037年までだが、同様の制度があるものとする。
結果
30年後の控除分・非課税分や手数料等々も全て加算した残高としては
現金:毎月1万円を30年なので、360万円
iDeCo:最終残高約586万円
積立NISA:最終残高約516万円
特別法人税復活:最終残高約519万円
最終的な運用残高としては1位iDeCo 2位iDeCo(特別法人税あり) 3位積立NISA 4位現金 となりました。
特別法人税が1年目からあったとしても、最終残高は積み立てNISAを上回りましたが、やはり複利的にかかる税金が大きく、積立額と運用期間が増えると課税所得の控除分よりも特別法人税の方が上回るようになります。
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わかりやすくグラフにしてみましたが、特別法人税がじわじわ効いて来ているような感じですね。特別法人税のリスクは少なからずあるようですが、結果的に積立NISAよりはパフォーマンスは良かったですね。
番外編
もし利回りが低い定期預金などで、控除による節税を目的とした場合に1年目から特別法人税が復活した場合を想定してみました。
左側が同様に年間12万円を積み立てた金額で、右側が特別法人税を控除した金額です。
赤枠の17年目で逆転をしてしまいました。毎年1.173%がその残高にかかるというのはかなり大きい金額になることがわかりました。
結論
①同じパフォーマンスであれば、間違いなくiDeCoはお得
②特別法人税が復活したとしても、30年では積立NISAを上回った
③低リスク低利回りで控除狙いのみ場合、特別法人税が復活した場合若干の損失あり
という結論に至りました。
もし低利回り商品を選ぶのであれば、運用期間が短い場合ならありですね。
逆に長期であればインデクッス投信であればほぼ負けなしかと思います。
以上のことから、運用期間によって商品を選び、会社員であればiDeCoは99%お得という結論に至りました!厳密に言うと会社員に限るので87%かな?
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